そばの散歩道

お店紹介

各地の名店

東日本大震災を乗り越え
歴史のある店を守る

 2011(平成23)年に発生した東日本大震災は、被災した範囲が広く、多方面に大きな影響を残した。会員組合員の店舗も甚大な被害を受け、福島県いわき市に店を構える『食亭 つるや』も店舗が全壊した。その後、JR常磐線・内郷駅前の仮店舗を経て、2018(平成29)年に、元の店舗があった場所に再建を果たした。『食亭 つるや』は、戦前の1936(昭和11)年に飯塚鶴吉さんが創業、現店主の飯塚昌保さんは4代目となる。もうすぐ創業90年を迎える地域の老舗だ。

『食亭 つるや』の店舗内外観。奥には個室として宴会にも利用できる席があるが、通常は一般席として開放している。子供連れのお客様などの利用が多い。
 飯塚さんは「震災で店が全壊して、駅の近くに仮店舗としてちょうど良い物件があったのでそこでしばらく営業した後、現在の店舗を再建しました。以前の店舗は2階に宴会場として使える部屋があったのですが、現在は1階のみとして、奥に宴会ができる席を設けています」と話す。以前の店舗よりも駐車場を拡大したことで、県外からのお客様の利用も多い。
 メニューの一番初めにある「和風な!ニラレバー定食プレミアム」は当店を代表する品で、レバー独特の匂いもなく、店伝統のタレで味付けされている。飯塚さんの代になり、タレの味も少し変更したというが、メニュー名の通り、和風なあっさありとした味付けだ。レバー自体もボリュームがあるが、デザートやサラダもついて満足感
が大きい。
 他に定食や丼物、そば、うどん、ラーメンなど、多彩な品が並ぶ。夏(5月から)は「冷しラーメン」「海老天ざるそば」など、秋冬(11月から)は「鍋焼きうどん」など、季節により提供する品もある。最近はテイクアウトの需要も多く、店の看板商品である「和風な!ニラレバー重」をはじめ丼物や弁当も販売、注文により仕出し弁当も提供する。
「和風な!ニラレバー定食プレミアム」は『食亭 つるや』の看板商品だ。新鮮な豚レバーを使い、ボリュームがありながら、あっさりした味付けなので食べ飽きない。
帆立・紋甲いか・むきえびが入る「海鮮ラーメン」はあんかけと麺がよくからむ。塩味で素材の味がよくわかる一品。
5 月からの季節商品である「海老天ざるそば」。
 コロナ禍が落ち着き、少人数ながら宴会需要も少しずつ戻ってきており、料理と飲み放題のコースを用意して対応している。今春は、地域の集まりなどもだいぶ増えてきたという。「材料費などの高騰もあり、価格変更も考えているのですが、お客様のことを考えるとタイミングが難しいですね」と話す通り、今後は価格の見直しも検討している。
 震災で失った店を見事に再建した『食亭 つるや』。地域に愛される味を提供し続けていることこそが、お客様にとっても安心感のある店の雰囲気につながっているのであろう

食亭 つるや

福島県いわき市内郷綴町町之内 11 ─2

0246-26-3608