そばの散歩道

お店紹介

各地の名店

様々な産地・品種のそばを
楽しめる店

 阪神電鉄・甲子園駅近くにある『雅屋』は、自家製粉・手打ちのそば専門店だ。
 「もともと新聞の販売店を営んでいた父が、手打ちそばの教室に通い、2001(平成13)年に開店しました。私は京都で日本料理の板前をしていたのですが、父がそば店を始めたので戻って手伝うようになりました」と話すのは2代目・佐藤貴義さん。息子の佐藤政輝さんも店に入っている。
 店舗は、外観・内装ともにそば店というよりもカフェやレストランという雰囲気だが、他の業種で使用されていた店舗をほぼそのまま使用したため、モダンな造りになった。店内も落ち着いた雰囲気で、大人数でにぎやかにというよりも、少人数でゆったりとそばを味わう空間になっている。

店のことを知らずに見たらカフェやレストランのように見える外観。白い暖簾も清潔感がある。
 『雅屋』では、島根県松江市の製粉会社から、その時々で状態の良いをそばを仕入れ、自家製粉してそばを打つ。つまり、1つの店で様々な産地・品種のそばが味わえるわけだ。創業当時は、常に二八で打っていたが、製粉した時のそば粉の状態が異なるため、今はつなぎとの割合もそば粉に応じて変えるようにしている。
 「アルバイトにそばのことを全部説明してもらうのは難しいので、わかりやすいように店に置いています」と、提供しているそばの産地や品種を店に掲示、そばやそば粉も置いて説明書きを添えている。そば好きのお客様の中には、そばの産地や品種を知りたいという方も多いから、こうした配慮はうれしい。
 「細挽き」「田舎」2種類のそばを提供している『雅屋』では、お客様が好み応じて好きな方を選ぶことができる。「田舎」は、30メッシュ・40メッシュそれぞれでふるった粉を混ぜているので、粗挽きの食感とそばの風味を楽しむことができる。
 品書きに目を移すと、かなり絞り込んだラインナップだ。そばは冷たいもの5種類、温かいものが6種類。関西では麺類とご飯を一緒に召し上がるお客様が多いので、7種類のご飯物が並ぶ。その他は昼の「天丼セット」と季節物、一品料理だ。佐藤さんは、品数を増やすよりもそば自体に力を入れたいと、仕事が雑にならない数にメニューを選択しているのだ。
和歌山の梅農家から仕入れる梅干を使用した「梅わかめ」は、これから暑くなってくると好まれる。
マイタケ・エノキ・ナメコ・エリンギ・シメジ5種類のきのこを使った「きのこそば」は冬季の季節メニュー。
鯖の締め加減が絶妙な「自家製さば寿司」は佐藤さんの板前としての経験が活かされているサイドメニュー。
 開店当初からそば専門店として歩んできた『雅屋』。飲食店に対して厳しいお客様が多い関西で、手打ちそば一本で営業するのは容易ではない。そうした環境の中で、そばにこだわり、より良いものを提供しようと努力してきたことがお客様に理解されている。
提供しているそばについて説明する黒板と、そば粉などの実物を店内に置いている。

雅屋

兵庫県西宮市甲子園三保町9-30

0798-41-1357