店ならではの味で
差別化を図る
JR東金駅から車で5分ほど、千葉市と銚子市を結ぶ国道線沿いに店を構える『鈴木屋』は1964(昭和39)年創業、2代目店主・鈴木茂さんが経営している。国道は交通量も多く、駅の周辺よりも賑やかだ。鈴木さんは「父は駅の近くで開業し、1975(昭和50)年まで営業していました。当時は出前中心の食堂的な店で、店の売り上げよりも出前の方が圧倒的に多かったです。国道ができるという話を聞き、開通の前に土地を入手して移転、2022(平成14)年に店を立て替えました。もともとは水田だった場所で、国道ができてから一気に開けました。早めに店舗の場所を確保しておいたのは正解でした」と話す。
平日の主な客層は近隣の住民だが、週末や休日にはサーファーや観光客などが来店する。平日と比較すると売上も2~3倍になるという。比較的単価の高い商品が出るため、客単価が上がることも影響している。現在出前はやめているが、受け取りに来てもらえる場合には対応している。
幅広い客層に対応すべく、メニューは豊富だ。単品(そば・茶そば・うどん・ラーメン)、定食、セット(丼物ともり・たぬき)、一品料理と一通りのものが揃う。しかし『鈴木屋』はメニュー豊富というだけではない。そば豆腐を使った「そばとうふ天ぷら」(単品・そば・うどん)「そばとうふ天ざる」は1週間で5食限定で提供する。揚げ出し豆腐とは異なり、そば豆腐を使用するため、独特の食感がある。また、ブロックで仕入れた黒豚を注文を受けてから揚げる「黒豚とんかつ」(単品・定食・カレー)は調理に時間がかかるにも関わらずファンが多い品だ。6/8サイズの大きな海老を使用する「上天ざる」は、チェーン店や総菜では食べられない上に、揚げたてを食べられることが差別化につながっている。ワンランク上の食材を使うことで、週末の外食需要に対応し、客単価の向上にもつなげている。
新型コロナウイルス感染症によって、夜の営業は多大な影響を受けたものの、昼は地域のお客様が多いだけに影響は少なかったという。夜の客足はまだまだ戻っていないが、コロナ禍が落ち着いてくれば、『鈴木屋』の味を求めたお客様が戻ってくることだろう。