自家栽培の新鮮な野菜と
手打ちそばが楽しめる店
藤枝バイパス・谷稲葉インターチェンジのすぐ手前に店を構える『細島屋藤枝店』、JR藤枝駅からは4キロほど離れている。「バイパスが無料化されて自動車の交通量はだいぶ多くなりました」と話すのは2代目店主・鈴木護さんだ。
創業者・鈴木貞夫さんが、1990(平成2)年に島田市内から当地に移転、その後、貞夫さんの娘・尚乃さん、護さん夫婦が店を継承した。2人とも以前は別の仕事をしていた。貞夫さんは忙しい週末に営業を手伝う他、店で使用する野菜を栽培している。
2000(平成12)年には店内を改装、座敷席だった部分を椅子席にするなど、時代の変化に応じた造りにした。また、改装の前に手打ち式麺機を導入し、製麺の品質向上も図った。当初は讃岐うどんの製法を学び、うどんに力を入れようと考えていたが、大手うどんチェーン店の進出もあり、護さんはそばに注力しようと考えた。組合の手打ち講座などで手打ちそばを学び、全て手打ちで提供するようになった。そばは北海道産と北米産のブレンドを二八で打ち、そば粉の4割ほどは粗挽粉を加える。つながりの良さと風味を味わえる点を考えた配合だという。
「かつては出前も多く、機械打ちのそばでしたが、手打ちそばに切り替えたので、少し高級な経営形態にしようかと思ったのですが、今から思うと、それは違っていました」と護さんが話すように、単品の価格も手頃で、ご飯物とのセットメニューも豊富だ。
特にカレーライスは、牛脂を溶かして作る手作りのカレールーに10種類の野菜を使ったスープを合わせる、店伝統の味として人気がある。
このように、手打ちそばを気軽に楽しむことができるもの『細島屋藤枝店』のセールスポイントだ。週末や休日になると家族連れも多い。
『細島屋藤枝店』のもう1つの売りが、貞夫さんが栽培する新鮮な野菜を使ったメニューだ。収穫して時間が経過していないから、野菜本来の香りや味を楽しむことができる。「藤枝地野菜の天せいろ」や「海老と季節野菜の天せいろ」など、季節毎の野菜が味わえる。薬味のねぎも自家栽培のものを使用している。
「仕込みは分業でそばは自分が打ち、つゆは妻が作ります」と、夫婦二人三脚で店を支える。尚乃夫人が焼く手作りパンも『細島屋藤枝店』の新たな名物になりそうだ。