「米沢藩御用掛込蕎麦」
300年の歴史
「当時から営業を続けている店はうちだけです」と話すのは、『粉名屋小太郎』の12代目店主・金田和博さん。当時というのは、米沢藩6代藩主・上杉吉憲の時代だ。そば店は「饂飩屋」と呼ばれており、藩からの許可を得て「饂飩屋株」と「鑑札」を所持しないと営業できなかった。これを得たのが1712年のことだという。「饂飩屋株」を所持する者は御役御免(免税)となったが、いざ戦となれば洗浄にお供して食事を提供する役目を負った。武士たちが大急ぎでそばを食べ、戦場へ出陣する様子が「米沢藩御用掛込蕎麦」と呼ばれる由縁だ。米沢藩から営業許可を得ていた店は23軒、『粉名屋小太郎』はそのうち現存する唯一の店である。屋号の「小太郎」は、代々当主が名乗ったことに由来する。