母親が打っていたそばが
店の個性を生み出す源泉に
江戸川区は東京都の東端に位置し、江戸川を挟んで対岸は千葉県になる。『矢打』はかつての江戸川本流であった旧江戸川近くに店を構える手打ちそば店だ。
店主・青木稔さんは足立区のそば店で修業し、店で知り合った秀子さんと結婚、1982(昭和57)年に独立、1988(昭和63)年に現在地へ移転した。
「独立する時に自分たち独自のスタイルでやりたいという気持ちがありました。その原点は母が打っていたそばなのです。父の実家である栃木県足利市でそば打ちを覚えて、家ではちゃぶ台にそばの生地を広げて打っていました」と話す。『矢打』は年越しそばの営業も独特だ。大晦日の数日前に店舗での営業は終了、大晦日当日は予約の持ち帰りのみを販売する。移転当初は、店内営業もしていたが、お客様に迷惑がかかるので現在のスタイルにした。地方発送を含め2,000食のそばが出る。