栽培から製麺まで
自らの手で育てた自慢のそば
「北海道から九州まで、日本全国の玄そばを仕入れて提供していました。そうした中で、地元で美味しいそばが栽培できないのかと考え、協力してくれる人達と力を合わせ、ようやく店で提供できるだけの量が栽培できるようになりました」と話すのは、『直利庵 三浦屋』の2代目店主・三浦義明さんだ。
『直利庵』は岩手県に源流をもつそば店ののれんで、三浦さんの父親・三浦信夫さんが、一ノ関の『直利庵』で修業後、1938(昭和13)年に独立・開業した。現在は3代目・三浦祐子さんが店に入っている。
三浦さんは、地産地消を目指し、そばの栽培から製粉、製麺までを一貫してこなすことができるように、設備も整えてきた。玄そばの処理のために店とは別の場所に加工場を設け、抜き実にするところまで加工する。その後、店の横にある打ち場に併設した石臼で製粉する。これを三浦さんが手打ちし、「十・一そば」として数量限定で提供している。その他のそばは手打ち風麺機を使用し製麺する。「玄そばから製粉するようになって、色や香りが各段に違うことがわかります。製粉する量も使う分だけにしています。つゆも機械製麺と手打ちでは作りわけています」という。「十・一そば」のつゆは甘味を抑えて、そばの味が引き立つようにしている。
自慢のそばはもちろんだが、『直利庵 三浦屋』はユニークなメニューも目を引く。2人前(もりそば3枚分)、3人前(同4.5枚分)、4人前(同6人前)と、3種類の薬味を付け、大人数でも楽しめる「桶はさまの戦い」、そばを入れて9種類の食材が入る「なっとくそば」など、多彩な品も楽しい。
三浦さんはもともと家業を継ぐ意思はなかったという。「私は教員を目指していたんですが、兄が店を継がなかったので、店を継ぐことになりました。もし教員になっていればとっくに定年ですが、今でも現役で仕事を続けていられる。しかも商売をしていたからこそ、たくさんの人と出会うことができました。今から思うと店を継いで良かったですね」と、話してくれた。
<店舗ホームページ>
https://www.chokurian-miuraya.jp