若き店主の向上心が
繁盛店を築いた
新宿から京王線で40分ほど、東京都心とは立地が異なり、自動車利用が多い、ロードサイド型店舗といえる『北野増田屋』は、当地で創業50年を迎えたそば店だ。現店主・宮崎裕樹さんは、創業者で先代の宮崎繁夫さんから店を引き継いで13年目を迎えようとしている。宮崎さんは「和食店で3年、父から店に帰ってこいと言われて都内のそば店で1年修業させてもらいました。父から経営を引き継いだ頃は店の売上も減少傾向で、存続すら考えなければいけない状況でした」と話す。
しかし、現在の『北野増田屋』は、売上もコロナ禍以前よりも増加し、地域のお客様からも支持を受けるそば店へと成長した。この原動力となっているのは宮崎さんの向上心に他ならない。都内外を問わず成功している店を研究、良いところは積極的に取り入れ、美味しいそばを提供することは基本としながらも、それ以上にお客様の満足度をいかにして上げるか、そして、客単価の引き上げを考えてきた。「同業者の意見はもちろん大切ですが、そば店以外の方の意見や考え、客観的に自分の店を観察する重要性を学びました。料理だけではなく、器や盛り付け、店づくりなど、様々な方々に助けてもらいました」という。
2011(平成23)年の代替わりを契機に店を改装、メニュー構成も見直した。店内は清潔感がある落ち着いた内装で、カウンター席、半個室、椅子席で利用できる座敷など、客層が幅広い当地でも様々なニーズに対応できるようにした。メニューは店舗の看板にあるように「板そば」を店の看板商品として据え、絞り込んだ麺類のメニューに、和食の修業を活かした御膳メニュー、季節の食材を使用した麺類や一品料理を提供して、お客様が飽きないように工夫している。
宮崎さんは昨年、東京都組合の理事に就任した。「私が今の店を作ることができたことは、やはり組合を通じた人間関係によるところが大きいのです。組合への恩返しのつもりで役員になることを引き受けました」と話す。地域青年部の研修会などを積極的に企画し、自店だけではなく他店のレベルアップにも貢献しようと意気込んでいる。
<店舗ホームページ>
https://www.kitano-masudaya.com