変わらぬ味を提供する
「二代目」の店舗
ラーメンの世界は、スープの材料や具材、製麺など、多くの店が個性を出そうと必死だ。しかし、一方では、昔ながらの「中華そば」を変わらずに提供している店も支持されている。その一つが『二代目 餅萬』だ。
5代目店主・佐々木康雄さんに、一風変わった屋号に話を向けると「父は和菓子職人だったのです。昭和45年に中華料理・和菓子・洋菓子を扱う店を始め、中華料理と和菓子は父が担当し、洋菓子は職人を雇っていました。昭和52年から中華料理専門店になりました」と話す。
初代が明治中期頃に青果物・酒・乾物・雑貨を扱う商店を開いたのが店の始まりで、3代目まで続き、4代目・佐々木隆男さんの代に商売替えをした。隆男さんは宮城県組合副理事長をはじめ、地域の飲食業界の重責を担っている。
現在の店舗は平成28年にオープンした。平成13年から平成25年までは仮店舗での営業だった。正式な店舗が「二代目」であることから『二代目 餅萬』の屋号にした。当初は、平成22~23年頃に新店舗を開店する予定だったが、東日本大震災の影響で大幅に遅れ、仙台市から借りた土地で営業していた仮店舗の契約期間も過ぎてしまったため、約2年間休業を余儀なくされた。
『二代目 餅萬』を代表する商品が「中華そば」「チャーハン」「餃子」だ。透明感のあるあっさりとしたスープは「毎日でも食べられる」というのもうなずける。いわゆる〝しっとり系〟のチャーハンや手作りの餃子の味も、なんとなくほっとする「安心」できる味わいだ。
仙台は「冷やし中華」発祥の地ともいわれるだけあり、夏場は良く出ていたが、厨房の効率を考えてやめ、今は『ざる中華』『冷たいラーメン』を夏季限定メニューとして提供している。
「以前は出前もしていましたが、人手の問題もあり現在はやめています。新店舗にする時にメニューも絞り込みました。以前は深夜2時まで営業していましたが、現在は午後12時までの営業です。遅くまで営業しているのが昔からのスタイルなので、今も続けています」といい、お酒を飲んだ後や2次会などで来店するお客様も多い。
『二代目 餅萬』の客層は幅広い。平日は近隣に勤めている方、週末や土日は家族連れが増える。近隣にある「アンパンマンミュージアム」やプロ野球チーム楽天の本拠地「宮城球場」などの帰りに寄るお客様もいる。
「私は自分でやらないと気がすまない性格なので」と話す佐々木さん。お客様にとって忘れられない懐かしい味を守るためには頑固さも必要だ。