そばの散歩道

お店紹介

各地の名店

古民家で味わう
心にも体にも優しいうどん

  JR関西本線・亀山駅、東名阪自動車道亀山インターチェンジのいずれからも車で10分ほど走ると、のどかな里山の景色に溶け込むようにたたずむ『めん処池田』に到着する。店主・池田とよ子さんが昨年1月に開店したうどん専門店だ。

古民家を活かした外観と、店内。客席は、座敷とオープンキッチンで調理の様子が見えるテーブル席。洗面所も改装されている。
手作りおはぎとサービスで提供している鰹節の佃煮・いりこ。
 「店をはじめたきっかけは主人と見ていたテレビ番組でした。主人が病気で他界し、父をその2年前に亡くし、実家で1人暮らしてた母が心配だったので、実家に戻りました。そして、地方で飲食店を始めた方を取り上げたテレビ番組を思い出し、店を始めることにしました」と、開店のきっかけを話してくれた。
 池田さんは、開店まで2年間、製麺機メーカーやうどん店のパートでノウハウを学び、実家を改装して営業を開始した。築70年の建物には懐かしさを覚えるお客様も少なくない。店内の座敷には座敷用のいすや子供用の絵本などが置かれ、細かい配慮もうれしい。また、SNSでの発信やキャッシュレス決済の導入も行っている。
レモンを絞ると、暑い時期でもさっぱりと食べられる「海老天ぶっかけ」。
うどんの味をストレートに楽しめるざるうどんと天ぷらを組み合わせた「天ざるうどん」。
牛の腸を揚げた油かすとだしの旨味が相乗効果を生む「かすうどん」。
 国産小麦のみで製麺するうどんは、モチモチした食感が楽しめる。地域では固いうどんはあまり好まれないため、20分ほどゆでる。ゆでおきはほとんどせず、時間がかかることをお客様に伝えている。鰹節・いりこ・利尻昆布で取るだしは上品な仕上がりだ。「大阪で暮らしていたので、関西の味に慣れていることと、あえて店の周辺にはない味を提供しようと、あえて関西寄りの味にしています」という。
 一番の売れ筋は「海老天うどん」、若い方にはボリュームがある「とり天うどん」も好まれている。「きつねうどん」があまり出ないのは意外だった。だしに使った鰹節の佃煮といりこをサービスで提供し、喜ばれている。また、池田さんの母親・きみ子さん手作りのおはぎも好評だ。
 池田さんは「小さい子供が「おいしい」と言ってくれたり、親御さんの「こんなにうどんを食べたのははじめて」という感想を聞いて、店を始めて良かったと実感します。自分の実家で好きなようにやっているので、気軽に色々なことに取り組むことができます」と話す。また、地域活性化に結びつけようとフリーマーケットや手づくりバッグ・小物の即売会などイベントも企画する。
 『めん処池田』は、手間をかけたうどん専門店の味を提供するのみならず、地域コミュニティの核になる場所としても期待できそうだ。
<店舗ホームページ>https://mendoko-ikeda.com/

めん処池田

三重県亀山市白木町3471

0595-82-7778