創業100年を目指し
新たなスタートを
「店に来るときにご覧になったと思いますが、この辺りは区画整理の最中で、この場所ももうすぐ区画整理にかかるので、この店で営業するのはまもなく終わりです。今、仮店舗を探しているところです」と話すのは栃木県宇都宮市で1932(昭和8)年から営業する『みます』の3代目店主・塩澤和利さんだ。
当地での営業以前にも宇都宮市内の繁華街で飲食店を営んでいたというが、子供の教育に環境が良くないと、塩澤さんの祖父・塩澤清さんの時、当地に移転した。塩澤さんの父・塩澤滋さんは栃木県組合理事長を歴任するなど、組合活動にも尽力した。現在、塩澤さんは栃木県組合の副理事長の任にある。
『みます』は塩澤さんと雪子夫人の2人で営業する落ち着いた雰囲気の麺類店だ。そば・うどんの他に塩澤さん夫妻が食べ歩きなどで研究を重ねて復活させたラーメンも取り扱う。また、継ぎ足してきたタレを使う「天丼」がよく売れる。支部で地産地消などを目的に取り組んでいるつけ麺「みや汁」は、通年メニューの「宮の豚づけ」と、冬季限定の「牡蠣のみや汁」の2種類を提供している。「牡蠣のみや汁」には大ぶりな牡蠣を使っていて食べ応えがある。「牡蠣南蛮」「カキフライ」など、牡蠣を使った商品は冬の『みます』を代表するメニューだ。さらに、栃木県組合が実施している事業で開発した黒山椒を使った新たなつけ汁も試作している。長ネギ・舞茸・豆腐・豚肉に、山椒の効いたつゆは若いお客様にも受けそうだ。
塩澤さんは父親から代替わりする時に、付き合いのあった納入業者を変えなかったという。「代替わりすると業者さんを変える方も多いようですが、私は変えませんでした。そのおかげで、長い付き合いがあるから良い材料も入れてくれるし、昨今の価格高騰の中でも頑張ってくれていて感謝しています」と話す。また、店を支える何よりのパートナーが雪子夫人だ。明るい人柄と、HP製作やSNSによる発信などのサポートが老舗を支えている。
区画整理が終わったらまた当地での再開を目指している『みます』。この場所でなければ『みます』ではないということと、創業100周年までは店を続けたいという塩澤さんの想いがあるからだ。
<店舗ホームページ>
https://sobadokoromimasu.hp.gogo.jp