創業者とともに
店と味を守る2代目
福島県から秋田県に至る国道13号線は東北地方を縦断する大動脈だ。この国道沿いに店を構える『そば屋惣右ェ門』は、1975(昭和50)年に創業者・鈴木邦昭さんが当地で開業した。現在は2代目に当たる、條隆則さんが店長として腕を振るう。大型バスも駐車可能な駐車場を備え、店舗は150名収容の大きさを誇るだけに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大
以前は団体客の利用も多かったが、現在はそのような需要が減少し、感染対策として席数も減らしている。幹線道路沿いで、高速道路のインターチェンジも近いことから、もともと県外のお客様も多かったが、感染状況が落ち着いてきた昨今は、特に週末などは復調傾向にある。
『そば屋惣右ェ門』のそばは二八で打つが、「太打ち板そば」に使用するそばは通常の3倍ほどの太さで、そば粉の分量も増やして打っている。製麺はすべて手打ちで行っているが、そば打ちができるスタッフが3人いるので心強い。そば粉は主に県内産の「最上早生」「キタワセソバ」「でわかおり」を使用、季節によっては一部北海道産なども使用している。また、4月から5月にかけては、山形市内の店舗で組織する山形麺類食堂協同組合が30年以上前から取り組む「山めん寒ざらしそば」を提供している。
通常メニューの他に、夏季は「冷したぬきそば」「冷しとりそば」「冷しいか足天そば」「冷し山かけそば」、冬季は「特製そばがき」「釜揚げきしめん」「カレー南蛮そば」「肉南蛮そば」が季節限定商品として品書きに並ぶ。特に「冷したぬきそば」は当店創業以来の名物メニューで、揚げ玉だけではなく、トマト・キュウリ・もやしが入り、レモンを絞ってさっぱりとした味わいで食べることができる。「時期になるとこれだけを毎日食べに来るお客様がいる」と、條さんは話す。
交通量が幹線道路沿い大型店舗という立地、地方では好立地と言えるが、現在のコロナ禍では店を維持するだけでも大変だ。加えて昨今のエネルギー価格や原材料価格の高騰も追い打ちをかける。このような困難な状況にあっても、創業者が生み出し、育ててきた店を2代目がしっかりと守る。鈴木さんと條さんには血縁関係はないが、鈴木さんは「息子みないなものですよ」と、店を支える條さんをバックアップしている。互いの信頼関係があってこそ、厳しい経営環境を乗り切ってゆけるのだろうと感じた。
<店舗ホームページ>
http://www.sobaya-souemon.jp