そばの散歩道

お店紹介

各地の名店

「隠れ蕎麦屋の里」で
味わう手打ちそば

 山形県西置賜郡白鷹町は、「隠れ蕎麦屋の里」として、そば祭りなどを実施している。それは、各集落に「そば屋」という屋号を持つ家があり、祝い事などがあるとそばを振る舞っていたという歴史を持つためだ。現在でも個性豊かなそば店が数多く立地する。その中の1軒が『そばきり八寸』だ。店名はいわゆる「そば八寸(24センチ)」といわゆるそばの長さに由来する。

白と黒のコントラストとすっきりした印象の外観と、ソーシャルディスタンスにも配慮した店内。除菌効果が見込まれる空気清浄機も2台稼働している。
当日提供しているそばの産地や品種を掲示している。
 店主の小形秀勲さんが「お客様の8割以上は町外から来店されます。県内だけではなく、福島県や宮城県からも来ていただいています」と話すように、決して交通の便が良いとはいえない『そばきり八寸』に遠方からも来店があるのは、この店のそばに魅力があるからだ。
 『そばきり八寸』の基本のそばは、粗挽きの粉を入れ、5%ほどつなぎを入れて打つそばだ。これに加えて平日は限定で十割そばを提供する。十割そばは微粉を使用しているので、基本のそばとは食感が異なる。そば粉は福井県産や北海道産の丸抜きを自家製粉で使用する。新そばの時期は特に色味が良く、色付けのために何か入れているのではないかと思うお客様がいるほどだ。
平日限定の「十割そば」。つながりも良く、滑らかに仕上がっているのは小形さんのそば打ちの妙技によるものだ。
2人前のそばを盛り付ける「板そば」は『そばきり八寸』のそばを心ゆくまで楽しめる。天ぷらは揚げあがりが軽く、油っこさはない。
「にしんそば」は、北海道産の身欠きにしんを3日間かけて煮込む手間をかけたにしんを使用する。箸で持つと崩れるほど柔らかい。
 品書きは少ない。冷たいそば5種、温かいそば5種、一品料理4種、季節により限定商品が登場するが、種物は天ぷら、山かけ、にしんと、そば店の代表格が並ぶ。『そばきり八寸』では、そばがメインであることが明快に表れている。
 1993(平成5)年に隣接する長井市で開業した『そばきり八寸』は、2015(平成27)年に、小形さんの住居があった現在地に移転し、自宅を改装してリニューアルオープンした。長井市内の市街地とは異なり、周囲には畑が広がるのどかな場所だ。「隠れ蕎麦屋の里」というのもよくわかる。しかし、こうした場所で味わうそばもまた格別なのだ。
<店舗ホームページ>http://hassun.oops.jp

そばきり八寸

山形県西置賜郡白鷹町浅立3589

0238-85-1083