愛知県の麺食文化を
楽しむことができる店
愛知県の麺食文化はとても多彩で、独特の食文化でもある。そうした様々な麺類を味わえる店が『そば処稲廼家清左衛門』だ。創業者の宮田富男さんは、中学校卒業後、東京都北区東十条にある『稲廼家』で修業し、1974(昭和49)年に都内で独立、1985(昭和60)年に故郷に戻り、現在の店を開店した。当地での営業も35年を超えた。『そば処稲廼家清左衛門』がある一宮市は、岐阜県に接していて、「138タワーパーク」や藤の花で有名な「曼陀羅寺公園」などの観光スポットも店から近いこともあって週末や休日は家族連れのお客様が多い。また、スポーツや地域の集まりなどにも利用されている。
宮田さんは「店名にあえてそば処、清左衛門とつけたのは、業者の方の意見も聞いて、特徴を出したかったからです。愛知県はうどん文化ですが、東京で修業したこともあって、そばを営業の中心にしたいと考えました。夏はそば、冬はうどんの注文が多いのがはっきりしています。やはり冬場は「味噌煮込みうどん」が圧倒的に多くなるのは地域柄でしょうか」と話す。
品書きにはそば・うどん・煮込みうどん・きしめんなど多彩な麺類のメニューが並ぶ。以前はさらに多かったが、メニューを見直し、減らした。中でも丼と麺類のセットメニューが『そば処稲廼家清左衛門』の一番の売れ筋で、全体の6~7割を占めている。通常のセットメニューだと、丼物ともり・かけなどが多いが、当店では様々な組み合わせを提供する。丼物9種類、麺類は価格に応じて12種類から選ぶことができる。夏場は「かつ丼+おろしそば」冬場は「天丼+みそ煮込みうどん」の注文が多いという。この他にも定食や和食膳など、チェーン店にも負けない商品構成と、専門店の味が地域密着で愛されてきた理由といえる。また、地元農家から仕入れる新鮮な野菜も使用している。わざわざ持ってきてくれる方もいるほどだ。
宮田さんは2年前に店の経営を2代目・裕哉さんに譲った。裕哉さんは「両親が作った店の基盤はすごいものだと思います。自分としても変えたい部分は少なくないのですが、急激に変えてしまうとお客様が離れてしまうと思います。良いところはきちんと残しながら、変えるべき部分は少しづつ時代の変化に合わせ、自分のカラーを出したいと考えています。10月の消費税率引き上げに合わせて価格改定やメニューの見直しも行うよう準備を進めています」と、店を受け継いだ2代目としての抱負を話してくれた。