そばの散歩道

お店紹介

各地の名店

長年磨いた技術と
創意工夫の麺類

 新潟県魚沼市は、「コシヒカリ」の名産地として知られ、へぎ(片木)と呼ばれる容器に盛り付けた「へぎそば」も良く知られている。「へぎそば」は、つなぎに海藻の布海苔を使う場合が多いが、『そば処よしみや』ではつなぎにとろろ芋と小麦粉を使用している。
 「布海苔も一時使っていた時期もあるのですが、温かいそばにしたときに香りが気になるので、今はとろろ芋を使っています。修業時代の影響が大きいので、そば打ちやつゆの味は、関東地方寄りだと思います」と話すのは『そば処よしみや』の主人・大塚桂三さんだ。大塚さんは、神奈川県川崎市で修業後、故郷である当地に戻り、1981(昭和56)年に独立・開業した。

新潟県と福島県を結ぶ国道252号線沿いに店を構える『そば処よしみや』。魚沼市は冬季の積雪が多く、特別豪雪地帯に指定されている。
 「山の中にある店だから何でもやらないとお客様は来ません。最近は若者が減って高齢者が増えました」と、人口減少と高齢化に悩む地域の実情を話してくれた。しかし、甘んじて現状を見ているだけではない。大塚さんは、1987(昭和62)年に「麺調理技能士」を取得し、新潟県卓越技能者「にいがたの名工」や(一社)全国技能士会連合会の「全技連マイスター」に認定されるなど、技術を磨いてきた。その技術の裏打ちがあるからこそ、何でもできるのだ。
 麺類・定食・一品料理と、豊富に並ぶメニューの中、うどんは「みゆきうどん」と名付けた平打ち麺、そばとうどんの生地を合わせて製麺した「そばどん」など、ユニークな品書きが並ぶ。特に「魚沼グリーン焼きそば」「魚沼グリーンラーメン」はインパクトのある一品だ。
 「魚沼グリーン焼きそば」は、小麦粉に魚沼産コシヒカリの米粉とヨモギを入れた麺に、できるだけ地元産の野菜やキノコを具材に使用。調味料もコレステロールゼロの油、天然塩、牡蠣エキス、酢など、健康志向も考えて調理されている。「魚沼グリーンラーメン」は、焼きそばに次ぐグリーン麺の第2弾として開発した。「ヨモギは冷凍した若芽を使用しています。お客様にも好評で、妙高のレッド、糸魚川のブラック、直江津のホワイトと合わせて新潟四大焼きそばになっています」という。
「へぎ合い盛」は、そばとみゆきうどんを3~4人前盛り合わせている。
スタンダードな「天ざるそば」が好評を得ているのは基礎となる味がしっかりしている証拠だ。
大塚さんの創意工夫で生み出した「魚沼グリーン焼きそば」は、あっさりとしたヘルシーな焼きそば。
 地域のダイニングとして親しまれている『そば処よしみや』は、宴会の利用も多い。店舗の横に作ったカラオケルームはお年寄りの昼間の集まりや、2次会に重宝されるなど、人が集まる場としても認知されている。また、大塚さんは、調理師学校やコミュニティセンターなどで手打ちそばの講師を務めるなど、そばの普及にも貢献する。
 厳しい経営環境の中、笑顔を忘れずに営業する大塚さん。長年にわたって培った技術がその大きな背景になっている。

そば処よしみや

新潟県魚沼市須原1517−11

025-797-2521