オリジナリティを
持つ強み
難波に店を構える本店を含めて大阪市内に10店舗、系列店などを含めると18店舗を展開する『そばよし』は、武田知之さんが1964(昭和39)年に最初の店舗を創業したのがはじまりだ。今は社長を息子・千春さんに譲り、自身は会長として経営をバックアップする。また、武田さんは、大阪府優秀技能者表彰(なにわの名工)を受賞している。
そば店の経営について、武田さんは創業に際し「後発の店ですから、他店との差別化を目指して、洛北の名刹大幸寺の「食文化」を伝承し、伝統を繋いでゆくことを「そばよしの使命」と考え、500年のヒストリーマーケットの中で、黒胡麻を練り込んだ「胡麻切りそば」、ヨモギを練り込んだ「ヨモギうどん」、「大幸寺振る舞い割子そば」、セイロで蒸しあげる「セイロ飯」など(商標登録を取得)を作りました」と、独自性を生み出した。
これら核となる商品を中心に、彩りや様々な食材との組み合わせ、季節感を大切にした限定商品の提供など、『そばよし』の経営スタイルを見ると、飲食店営業で必要なことが良く見える。
武田さんは「日本料理と比較すると、そば店は季節感や食材の彩りが弱い。お客様に訴求するには大切なことです。しかし、そば店としての本筋を外してはいけないと思うのです。その範囲の中でできることをする。これが大切です」と話す。
人手不足が深刻な昨今だが、『そばよし』では多店舗経営にも関わらず、人材に関しては比較的安定しているという。しかし、武田さんは現状に甘んずることなく、次の一手を考えている。「5月にはメニューを見直します。店の「売り」を明確にして、厨房内の作業も効率的に行えるようにしたいと考えています」と、時代の変化に合わせた改善に常に取り組む。また、現在、本店のみで提供している手打ちの「二八そば」を他の店舗でも提供しようと検討している。
他の業界からそば業界に飛び込んだ武田さん。取材の最後にこう話してくれた。「中にいるとだんだんとわからなくなってくることがあります。だから、客観的な視点で自分の店を見ることはとても大切です。そして、業界の若い皆さんには夢を持ってほしい。そば屋はとても面白い商売です」と。
<店舗ホームページ>
http://www.sobayoshi.com/