福井におけるそばの歴史と
文化を物語る老舗
自身の発案により戦後全国を巡幸された昭和天皇は、1947(昭和22)年に福井県を訪問した。その際にそばを召し上がった店として知られる店が『うるしや』だ。昭和天皇はその味に感動し、「越前のそば」と話されたことが現在の「越前そば」の呼び名が広まった由来と言われている。店名の通り、漆の販売をしていたが、1860年代にそば店となったという、170余年の歴史を持つ文化財的な店といえる。
しかし、一時期は閉店し、店自体の存続が危ぶまれる時期があった。代々梅田氏一族が受け継いできた『うるしや』は、後継者と目されていた方が急逝、その子息も後を継ぐことはなく、店を続けることが難しくなった。そのような折、これだけの歴史と伝統ある店を失うことは大きな損失だと考え、店を引き継ぎ、再興しようと立ち上がったのが原崎衛さんだ。