地域密着の営業スタイルで
本物の味を提供する店
JR・近鉄の津駅から車で10分、東海道から津を結ぶ旧伊勢別街道沿いに店を構える『きのさき』は店舗も新しく、最近オープンしたように見えるが、元々は津駅前で営業していた。開業は1982(昭和57)年、当地に移転したのが2018(平成30)年だ。古倉庫を店舗として改装して使用している。
「私に代替わりする際に店の移転・新築を決めました。3本の道が交差する場所で住宅街や工業団地もあるので、会社員や地元の方たちなど様々な客層の方に来て頂いています」と話すのは『きのさき』の2代目・竹内大輔さんだ。
『きのさき』の一番の売りを聞くと出汁だという。初代(竹内寛治さん)から引き継いだ店伝統の出汁は県内尾鷲産、鹿児島県枕崎産の鰹節を中心に、全国から良いものを仕入れて使用している。一口味わってみると、出汁の旨味が強く感じられ、角のない優しい味に仕上がっている。子供から高齢の方まで客層が幅広いというのもうなずける味だ。他に米や、揚げ物に使用する米油など、県内産の高品質な材料を惜しみなく使用する。地域柄うどんの引き合いが多く、「肉うどん」や「カレーうどん」など定番が並ぶ。一番人気は、店の名前を冠した「きのさき定食」だ。カマボコと油揚げを使用した「しのだ丼」とかけ・ころ(冷)うどん・そばをセットにしたもので、店の味をシンプルに味わってほしいという、竹内さんの思いが込められたメニューだ。そして、旧店舗の時から続く通常メニューの他、季節メニューを提供し、夏季限定の「とろっとなす天おろしうどん・そば」や冬季限定の「味噌煮込みうどん」は人気が高い一品だという。
「親子2代、3代にわたって来店してくれるお客様が多いです。今後も手間を惜しまず時間をかけることによって、素材の旨味を最大限に活かして毎日変わらぬ味を提供できるよう精進します」と話す竹内さん。店舗や場所が変わっても受け継がれる『きのさき』伝統の味と、それを守り抜く決意をした頼もしい2代目の姿勢が、飲食店に厳しい時世にあっても、安定した営業を続けている何よりの基礎なのだ。
<店舗ホームページ>
https://kinosaki-udon-soba.com