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第22回 三上 寛さん(フォークシンガー)

故郷青森の思い出の味

第22回
三上 寛さん
(フォークシンガー)

三上 寛(みかみ かん)
1950(昭和25)年青森県小泊村(現中泊町)出身。警察学校中退後、上京。71年中津川フォークジャンボリーに出演し空前絶後の表現で一躍注目される。71年LPで「三上寛の世界」をリリース。以後、日本フォークの急速な商業的変質にもかかわらず独自の歌の世界を貫き通している希有の歌手。90年以降も「平成元年ライブ」を皮切りに新作を発表し続け、全国各地で精力的にライブをこなす。年毎に円熟味と土俗性を増し、同郷出身の寺山修司の影響を受けたその詩・歌ともに類例のない表現を追求する。その作風の魅力から、分野を超えて共演する演奏家も多い。2000年3月には音楽活動30周年記念の13枚組CD・BOX「三上寛ボックス」をPSFレコードから発表。同年11月には自叙伝『三上寛 怨歌に生きる』(彩流社)を刊行。

昔は一升
飲んでいた

― 青森県中泊町のご出身だそうですね。

三上 もともとは小泊村で、県立五所川原高校が母校。立ちねぶたで有名な、最果ての漁師町です。

― 青森は海産物がおいしいですね。

三上 例えば、おいしい海産物の一つにフジツボがある。最初は食べられると思わなかった。陸奥の方で養殖してるらしい。最近は東京でも食べられるが、高級食材になってしまった。それと、小泊で捕れるメバルは超一流で、首都圏の料亭などにも入ってます。近年輸送技術が発達し、今は下関にも送ります。それが下関のフグになる(笑)。まあ、これは冗談ですけど……。
昔はイカとサバだけでしたが、今はエビなども捕ります。

― 日本酒はいかがですか。

三上 好きですが、時間に余裕がないと楽しめない。昔は一升ぐらい飲んでいましたけど。今はもうそんなには飲めないでしょうね。青森にも桃川とか田酒などの地酒がある。昔、親父に量り売りでよく買いに行かされた酒です。今は高級酒になっちゃった。かつて所属していた事務所に、醸造元の社長が酒を送ってくれたんだけど、僕が知らない間に事務所の連中が全部飲んじゃった。他人の酒をタダで飲みやがって、と頭にきてその事務所を辞めました(笑)。

― 飲むときには食べる方ですか。

三上 食べる方ですね。肴は、お新香とか突き出しに出るようなものが好き。ちゃんとした料理でなく、いわゆる肴。メバルの煮魚なども好きです。刺し身はあまり酒と合わない。やはり火の通ったものがいい。てんぷらは最高の肴だと思う。特に春先の山菜などがいいです。ギョウジャニンニクのてんぷらを塩で食べると実にうまい。子どもの頃から漁師町で育ったので、魚臭さのないものの方が好きですね。

そばといえば
ラーメンでした

第22回 三上 寛さん(フォークシンガー)

― イワシの焼干しをだしにした青森のラーメンは、全国ブランドになりませんか。

三上 帰郷するとよく食べます。あっさり系の縮れた細めん。今は豚骨系が主流だから、魚をだしにした青森ラーメンは人気が出ないのでは。青森市の中心部から少し離れた、寺山修司さんの母校、青森高校の近くにある「筒井橋」という古いラーメン屋によく行きました。現地ではラーメンを「そば」といい、日本そば屋は少ない。普通のそばは生そばといって、駅前で卵を落として食べることができる程度。おいしいそばに出合ったことがなかった。だから、ラーメン、となる。今思うと、関東で日本そばを食べるような感覚で、ラーメンを食べていました。

― お酒は?

三上 ライブ終了後、夜10時半から終電近くまでの一時間ほど飲みに行きます。家では自分で買い出しをして、イカやナスの味噌炒めなどの肴をつくる。現在、住んでいる千葉は、魚もうまいんです。

― 青森には帰郷されますか。

三上 母がいるので年二、三回。お盆には必ず帰ります。青森は、たらこにすじこ、カブの漬物などがおいしい。千葉県とは明らかに味が違う。しかし、昔のものが段々なくなっている。この前の夏に帰郷したときに食べた、ボウダラと筍の炊き合わせや、筍とワカメに身欠きにしんを入れた味噌汁などは、特に懐かしかった。特別な食材というより、水がいいから料理がうまいんじゃないかな。

上京して
そばと出会う

― そばとの付き合いはいつごろからですか。

三上 おいしいそばに出合ったのは上京してからですね。年代的にはかなり後の方。「のどごし」がおいしさの要素の一つだということを、初めて知りました。そういう味わい方もあるんだと。若い頃はそばは大人の食べ物だと思っていましたから。昼間、日本酒を軽く一杯やって、ざるで〆る、というのは、関東へ出てきてからです。また、そば屋は意外とお新香がうまい。それで飲むのも好きですね。

― うどんはいかがですか。

三上 よく煮込みうどんを食べましたね。太いめんでなくて稲庭風の細いうどん。あれを鍋いっぱいにつくって椀に取って食べる。醤油ベースで、椎茸や飼っていた鶏をつぶしてだしを取る。

― そばや食べ物を歌にしたことは?

三上 「カツ丼が空を飛んでいく」という歌をつくったことはありますが(笑)。

― 青森県はソバの産地なのに、現地ではあまりそばを食べないですね。

三上 だしの昆布は北の産物なのに昆布の食文化が育たなかったせいではないですか。単に商品としてよそへ出してしまう。京都でにしんそばを初めて食べて、青森にはないなと思った。にしんも昆布も青森にあるのにね。そういえば子どもの頃、若生わかお いという売り物にならない薄いワカメでくるんだにぎり飯を食べた。これは懐かしい。

― 高菜漬けでくるんだ和歌山のめはりずしみたいなものですね。

三上 おいしいですよ。最近は市場で売り出してます。昔は海苔がないからその代わりだろうと思っていて、何となく恥ずかしくて表に出せなかったんですが。

(‘07年10月23日、千葉市のホテルニューオータニ喫茶室で収録)
撮影/STUDIO MAX 高橋昌嗣




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