そばの散歩道特集メニューへ次ページへ


第13回 深谷かほるさん(漫画家)

簡単なものを、おいしく食べるのが理想。

第13回
深谷かほるさん(漫画家)

深谷かほる(ふかや かほる)
福島県出身。武蔵野美術大学デザイン科卒業。月刊誌「まんがくらぶ」に連載している「エデンの東北」(既刊11巻/竹書房)で人気を博し、現在は月2回刊のレディースコミック誌「YOU」で、美人ではないが明るく、どんなことにもへこたれない主人公を描く「カンナさーん!」を連載中(既刊11巻/集英社)。一児の母で、どんなに仕事が忙しくても、お弁当を必ずつくって通学する子どもに渡す。ほかに『ダイヤ者』『マリーゴールド』『ぴよぴよフーフ』など。

めんの原点は
インスタントラーメン

― 漫画「エデンの東北」では。食べ物のお話がかなり出てきますが。

深谷 食べ物を漫画に描くのは楽しいけど、自分の筆がいまひとつで、うまくその感じを表現できなくて。小学生のころ、野山で遊びまわっていたので、いつもお腹を空かせていましたから、食べ物は何でも食べます。ただし、ブタの脂身やミョウガはダメ。基本的にご飯、納豆、お新香、おひたし、それにほうれん草と油揚げの入った味噌汁。これがあれば毎日でも平気です。

― 漫画ではめん類はあまり出てこないようですが。

深谷 ほんとはめん類も好きです。特に今好きなのはそば。子どものころはラーメンも好きでした。でも、おそば屋さんには悪いけれど、最初の記憶は何といってもインスタントラーメン。ちょうど出始めのころでしたから。

― 好きなめん類のお店はありますか。

深谷 家に近いN駅の北口と南口にあるSという店によく行きます。今は、冬の季節限定のカキ天そばがいいですね。土曜に小学生の息子と二人で行って、私はビール、息子はコーラを注文。彼は炭酸で酔って、学校の話などをしてくれます。でも、最近は口が堅くなった(笑)。

― お母さんが漫画のネタにするんじゃないかと思っているのでは?ほかによく食べるめん類はありますか。

深谷 あとは鴨汁うどん。お酒も好きですが、飲むと寝込んでしまうので自粛しています(笑)。いつだったかアシスタントさんと編集者と家で飲んだら、洗面所で寝てしまった。大して飲んだわけではないのですが。

貧乏学生の食生活
漫画家への道

第13回 深谷かほるさん(漫画家)

― 外でお酒を飲まれることは?

深谷 最近は仕事のせいもかあまり行きません。ワインのロゼが好きですけど、近所には売っていない。でも、おしゃれな店のイタリア料理とかフランス料理に興味があるかと言うと、そうでもないんですね。やはりご飯とそば。それさえあればいいという……何かとても貧乏くさいですねえ(笑)。長いものなら。めん類じゃないけど、どじょう鍋やどじょう汁なんか好きです。

― そばの話に戻りますが、暑い季節だと、どんなそばを食べられますか。

深谷 天ざるです。子どもと一緒に散歩に出て、おそば屋さんに寄って、ビールのあとに天ざるをいただく。ほろ酔い気分で外に出ると涼風が気持ちいい。思わず、差し迫った原稿の締め切りを忘れる(笑)。

― 福島から上京して下宿探しを?

深谷 いえ、高校のころから下宿していました。上京して大学に行っていたころは、大学食堂で当時一番安い、150円のかけうどんを毎日食べていました。ある時、友だちが食べたうどんの丼から50円玉が出てきた。彼女が文句を言ったら、「あら、よかったわね」(笑)。

― そのころの食生活の思い出はありますか。

深谷 今考えるとおかしいんですけど、当時、武蔵野美術大学は就職希望者があまりいなかった。卒業してからは、バイトで美術館の雑用をしたりしていました。ですから、あまりお金がなくて、安売りのパンの耳を買ってきて、揚げて食べたり……。貧乏な話ばかりですいません(笑)。そんな状況で、親に頼ってもいられないので、学年誌へカットを持ち込んだんです。編集者がそれを見て、ヘタだから使えない、と。でも、「漫画を描いてみたら?」と言われ、プロの編集者のそのひと言に発憤。他人の漫画を見よう見まねで描いて持っていったら、漫画雑誌の編集部を紹介してくれたんです。

食べられるものなら
何でもOK

― 食べ物に対して、あまり執着がないみたいですが?

深谷 何かを食べてみたいというよりも、貧しい生活を想像するのが好きなんです(笑)。お腹をすかせた時におむすびを食べたらおいしいだろうな、と想像する。簡単なものがおいしく食べられる生活が理想。具体的にメニューを挙げられなくてすみません。

― 「空腹は最良のソースである」という語もありますしね。

深谷 もちろんおすしも天ぷらも好きですが、なぜかシンプルな食べ物に好みが偏る。学生時代と売れない時代は最低限の食生活で、高校の下宿時代は湯豆腐とみりん干しが人気でした。

― 味の好みはありますか。

深谷 しょっぱくて真っ黒なうどん汁が好きです。漬物も好き。お金がない時は、食べられるものなら、危ないものでも何でも食べた。ある日スーパーで、スパゲティが異様にな安値で山積みになっていたことがある。ちょうどチェルノブイリの事故のあとでした。訳ありだなとは思ったんですが、背に腹は、で投げ売りしていたのを大量に買い込んで、タマネギとピーンマンと塩、コショウで毎日食べていました(笑)。

― ほかに食べためん類で思い出はありますか。

深谷 瓦の上で焼く瓦そば。最近の山口県の名物らしいのですが、濃い味付けの牛肉の時雨煮や水菜、錦糸卵、ネギなどを、瓦の上で軽くゆでた茶そばと一緒に炒める。それから、石垣島で食べた沖縄(ソーキ)そば。草津温泉で食べた「本物の十割そば」はなぜか板のように硬かったですけど(笑)。先日、いつもと違う店で、誕生日に鴨汁うどんを食べたんですが、これがまずかった(笑)。まあこれも経験だろうと思ってますけど。

(‘07年2月14日、高円寺駅北口・喫茶店「テル」でインタビュー TEL 03-3339-0690)
撮影/ 岡本明洋(フリーセクション)




「めん好き登場!」メニューへ

お問い合わせはこちら お問い合わせはこちら
copyright(c)1998-2010(社)日本麺類業団体連合会/全国麺類生活衛生同業組合連合会