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第5回 夏木マリさん

子供のころ、おそばは
大人の食べ物でした。

第5回
夏木マリさん

夏木マリ
73年「絹の靴下」でデビュー。80年代に演劇へも活動の幅を広げ、芸術選奨文部大臣新人賞、紀伊國屋演劇賞個人賞などを受賞。93年から続くパフォーマンス「印象派」は海外でも評価が高い。長編アニメ「千と千尋の神隠し」での老婆役の声などでもおなじみ。身体による表現の追求から健康とその基である「食」にも関心が深い。
*夏木マリさんの公演「印象派」Vol.8ー夏木マリを探してーは、10/6(金)〜8(日)に東京渋谷のBunkamura シアターコクーンで開演。
問い合わせ先/ 03-5280-9996
www.marinatsuki.com

親しくなるために、長いめんで縁を結ぶ。

― 今日は「食べる」ことに関しておうかがいしたいと思います。以前、新聞紙上で食に関して「お年ごろになってきたので」と言っておられますが、これはどんな意味ですか?

夏木 以前は若い人と同じ食事をしていたんですが、肥ってしまって、メディカルチェックを受けた時、年を重ねるに従って食事の量を減らしていかなければダメだと言われて。そんなことは親も教えてくれなかったので、それからは食べものを意識してコントロールするようになったんです。そこで食に改めて関心を持ったので、現在をその「お年ごろ」と言ったわけです。

― 食べものを、量でなくて質を求めて味わえる、いい年を迎えられたと。

夏木 やっと口も肥えてきて、おいしいものを味わえる年齢になったということでしょうか。

― うどんのお店をコーディネートされたということですが、そのきっかけは何ですか?

夏木 10年ほど前、大阪で友人がやっている「つるとんたん」というお店に呼ばれて食べに行ったら、とてもおいしかった。こんなお店が東京にあったらいいなとその友人に言ったんです。最初はその気がなかったようですが、私の懇願に乗って、じゃあやってみるかと。昨年、六本木に店を出したときは、私がインテリアや器などをコーディネートしました。二軒目は丸の内、新宿歌舞伎町にできた三軒目は、私がディレクションして、歌なども聴いてもらえるライブスペースを併設しました。

― お友だちがうどん店をされている関係で麺類に特に興味を持たれたとか?

夏木 これは私の縁起担ぎみたいなんですが、お近づきになりたいなと思った方とは必ずうどんとかパスタとか、縁を結ぶ意味で長いものを一緒に食べることにしています。だからイタリア料理でもペンネやリゾットを食べずにスパゲッティを食べる。麺というのは私にとってチャーミングでロマンチックな食べ物なんです(笑)。

小さいころは洋食主体の食生活でした。

第5回 夏木マリさん

― 小さいころから麺類がお好きでしたか?

夏木 私の家は、父が貿易会社に勤めていたこともあって、和食でなく洋食が主体の生活だったんです。食卓には洋食しか出ない。ハンバーグ、シチュー、カレー、ご飯は付け合わせとしてロールキャベツの中に入れてあるとか。今でもよくものの考え方も含めて「外国人みたい」と言われるんですが、成長期の食べ物の影響が大きいと思います。友達の家に行くと、うどんとか漬け物とか焼魚とかが出てきて、逆にそういう和食に憧れました。父が仕事の関係で、外人バイヤーを神田の「やぶそば」などに連れて行くことがあり、そのとき私もついて行ったりして、子供心におそばをおいしいと思いました。いたわさで日本酒、その後もりそばでしめる、というのは憧れましたね。以前、古今亭志ん朝さんがおそばを食べているのを偶然見て、「カッコいいなあ」と。だから、おそばは大人の食べ物だと思っていました。

― 子供時代は洋食ということですが、今は和食、洋食、どちらがお好きですか?

夏木 やはり和食ですね。若い頃の一時期は洋食に走りましたが、今は和食党。

― 肉よりは魚の方ですか?

夏木 いえ、肉は結構食べます。歌を唄ったり、翻訳劇をやったりするときは肉を食べます。体が要求するんですね。

― 味の好みは東京系ですか、大阪系ですか?

夏木 お鮨と洋食は東京、和食だと大阪。大阪の太巻きやちらしはいいですね。食の好みは基本的に関西系かしら。

― お酒の方はどうですか?

夏木 あまり強くないのですが、食事のときにお酒がないと物足りない。洋食でも和食でもビールよりもシャンペンから入る。ワインは赤。それから焼酎。日本酒はあまり飲みません。

体を楽器だと思って、パフォーマンスを。

― 食事とは別に日常的な健康管理をなさっていますか?

夏木 筋肉トレーニングとか、前の晩においしい物を食べたら、翌朝歩いたり泳いだり。ライフワークの「印象派」に向けて、体づくりの調整をしています。それに定期的にダンスの稽古をしたり。

― 三島由紀夫さんと井上ひさしさんのお芝居を「俳優としてのラストスパートの感じ」とおっしゃっていますね。

夏木 私は体を楽器だと思ってパフォーマンスに臨んでいます。スポーツ選手じゃないですが、やはり限界がある。いつまでも続けられるとは思いません。思っていることと体の動きが合わなくなったら、人生の折り返し点もすぎたので、若い人や一緒にやっている人たちの反対側に回って、「演じる」から「演出する」へと立場を変えてもいいと思っています。

(‘06年7月4日・夏木マリ事務所でインタビュー)
撮影/ STUDIO MAX 高橋昌嗣




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