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読んだそばから…


池波正太郎『梅安晦日蕎麦』より “年越しそば”


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『鬼平犯科長』や『剣客商売』シリーズでお馴染みの池波正太郎は食通でも知られ、食に関する数々のエッセイを残している。もちろん、作品の中にも食事シーンが登場し、それを楽しみにしている読者もいる。

テレビや映画にもなった『仕掛人』シリーズにも料理をつくったり食べたりする場面がふんだんに出てくる。この作品は題名からして「蕎麦」を挙げてあるが、ひと仕事を終えた仕掛人・藤枝梅安に年越しそばを食べさせている。 『藤枝梅安は、このところ三年ほど、年越し蕎麦を芝・赤羽根橋の〔福山〕で食べることにしている。
「今年の大晦日は、いっしょに蕎麦を食べよう」
と約束していた彦次郎が、大晦日の昼すぎに、梅安の家へやって来た。それから間もなく…。
常任寺の老僕と僧が一人、何やら、いろいろの道具を小さな手押し車に積み、梅安宅へあらわれたのである。
「和尚サマのおいいつけで、まことに失礼ながら、こころばかりの…」
と、僧がいい、道具をひろげた。』

年越しそばは「歳取りそば」「大年そば」「おおつごもりそば」「除夜そば」などとも呼ばれ、全国的な風習となっている。その由来には、細く長くて縁起がいいから食べるという説や、逆に切れやすいことから旧年の苦労や厄災をきれいさっぱり切り捨てようと食べるという説、金銀細工師が散らかった金粉を寄せるのにそば粉を使っていたため、金を集めるという縁起で始まったという説など多々ある。由来の真偽はともかく、大みそかにそばを食べることは身体から自然にわき出る行為といえよう。
『「今年も、死ななかったねえ」
「来年は、どうなることやら」』

近年、カップルめんで代用する人もいるようだが、これでは梅安たちのような年越しならではの味わい深い会話は生まれない。


 

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