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読んだそばから…


第8回 夏目漱石 『坊っちゃん』より“天ぷらそば”


イラスト

小説を読んだことのない人でも親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている≠ニいう書き出しは知っているという『坊っちゃん』は、何度も映画やテレビドラマに登場しているので、ストーリーは誰もがご存じの国民的な物語だ。

無鉄砲な新米教師、坊っちゃんが赴任先の四国・松山で繰り広げる珍騒動が楽しいが、トラブルの根本原因は、都会育ちの坊っちゃんと田舎の人たちの考え方や生活リズムのズレにあるようだ。時代は文明開花の明治。近代日本を代表する文化人で進取の気性に富んだ漱石としては、田舎のテンポがよほど気にくわなかったらしい。随所に都会との比較や田舎の悪口がでてくる。都会派の坊っちゃんはそばっ食い。ある日、そば屋を見つけた彼は、入らないではいられない。

「おれは蕎麦が大好きである。東京におった時でも蕎麦屋の前を通って薬味の香をかぐと、どうしてものれんがくぐりたくなった。きょうまでは数学と骨董で蕎麦を忘れていたが、こうして看板を見ると素通りできなくなる。」そこで看板の下のほうに「東京」と注が書かれてある店に入り、「ねだん付け」の最初に張りつけられている「天麩羅」を注文した。天ざる≠ヘ昭和の発明品だから、「天麩羅」といったら天ぷらそば≠セ。久しぶりのそばだったので四杯も平らげてしまった。これを生徒が目撃して、また騒動につながっていくとは、満腹で上機嫌の坊っちゃんは知るよしもない・・・

 

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