そばの散歩道お宝拝見メニューへトップページへ
お宝拝見

space 庄屋造り
 ●所蔵/池渕 中屋敷(東京都練馬区)
space

space 庄屋造り space
space
space
豪雪地帯から移築

石神井公園の池の淵に建っている。休日には家族連れでにぎわい、ボートが何そうも池に浮かぶ。とくにお花見の季節はボートにも、お店にも行列ができる。
建物は新潟県東頸城郡松之山町から移築した。松之山は豪雪地帯、冬には積雪4メートルにも達する。建ってから120年以上がたち、庄屋造りである。農業を営む小野塚氏の邸宅であった。池のほとりに、はるばる運んできたのは昭和52年。冨岡幸雄さんが開店したが、いまは息子の健一さんが継いでいる。幸雄さんは池を眺めながら考えた。「この景観に合う建物は脱都会の、気持ちがほっとするようなものではないか」。
ボート乗り場の側の玄関から店内に入ると、まずクツをぬぎ、スリッパにはきかえる。1階ではガラス越しにそば打ちの様子が見え、厨房の活気が伝わっている。一部は住まいにもなっているという。客席は2階。座敷と椅子席と両方で74席。
天井は高く、雪おろしに都合がいいように屋根は三角に組み合わされている。世界遺産になった白川村の合掌造りと型は同じである。新潟では3階になっていて、養蚕や食料置場などに使われていたのだろう。ここでは屋根の先まで見通すことができる。木と木はナワでがっしりと結ばれ、年月に耐えている。夜はライトアップもするようで、飲みながら、食べながら上を見上げて、匠の技に感嘆するのもご馳走だ。

強い印象を与えるのは黒光りした柱。主柱5本は直径8寸(25センチ)の棒材を使用した天然漆による総仕上げ。周囲の40数本は5寸(15センチ)の杉材。釘は一切使っておらず、穴をあけてはめこみ、ナワでしめて、ゆるぎない。「いにしえの大工の心意気に頭が下がる」と店の説明書に書いているが、これが譲り受けた店主の率直な感想だったのだろう。
客席のまわりには古いとっくり、盃、木鉢、やかん、ランプ、かんじき、わらじ、笠、人形、大八車の車輪、うちわ、凧、絵馬、お面などが並んでいる。恐らく昔の農家で飾っていたものだろう。不要になっても、大事に持っていた時代のものの数々である。新しいものでは、タレントや俳優の色紙があり、「ああ、ここはおそば屋さんだ」といまに戻ってくる。
店名は冨岡さんが池渕町内会に属しており、邸宅が中屋敷とよばれていたことからつけた。店にはこんな言葉が掲げたあった。「なつかしい故郷の家かわらぬ古の味やさしい真心を白然の香りをきっとお届けしたい」。先頭の五文字をつなぐと「なかやしき」になる。

space


space
お宝拝見メニューへお宝拝見メニューへ トップページへ トップページへ

お問い合わせはこちら お問い合わせはこちら
copyright(c)1998-2007(社)日本麺類業団体連合会/全国麺類生活衛生同業組合連合会