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お宝拝見


そば猪口
 ●所蔵/蓮玉庵(東京都台東区)



そば猪口

 
大小、形もさまざま
 
上野の寄席、『鈴木』の裏あたり、店は池之端仲町通りに面している。入り口右に黒の石額がある。「蓮枯れたり かくて天ぷらそばの味」の句、久保田万太郎作。この店の主人、澤島孝夫さんの先代と万太郎宗匠が飲み友達。その縁で石額に刻んだ。
店に入ると左手のガラス張りのケースの中に、お猪口が並んでいる。全部で三二個。三つに区切られていて、それぞれに大小、高いの低いのが形よく陳列されている。
澤島さんは凝り性らしい。大学時代からジャズに打ち込み、レコードのコレクション、コンサートの企画と続いてきたが、ジャズの歴史にもくわしい。そば屋を継いでからは焼物に凝り、集めたお猪口は二千くらいという。
「どこにありますか」ときくと、「二階にもあるし、縁の下にもあるよ」との答え。店に並んでいるのはごく一部だが、時々所蔵の中から取り替えられる。
澤島さんによると、お猪口の元は朝鮮。豊臣秀吉の征討軍が捕虜として連れてきた人たちに焼かせた。料理の和え物、なますなどに使われていたのだが、江戸時代にそば屋でもりそばのだし汁用になり、明治になって東京でそば屋が激増すると足りなくなり、茶碗が転用されたり、区別があいまいになったらしい。
昔のものは下に高台(こうだい)がついているが、いまはついていない。『蓮玉庵』で陳列を見ていると変化がわかる。お猪口は昔は二〇円くらいで買えたが、いまは高くなって二、三千円がざら。「元々は雑器ですよ。それが何千円もするんじゃ買う気がしない」と二〇年ほど前から収集をやめた。
『蓮玉庵』は澤島さんで六代目。不忍池の蓮から名づけられたが、森鴎外や樋口一葉とのかかわりも深い。「池之端の蓮玉庵に吾も入りつ 上野公園に行く道すがら」(斉藤茂吉)。



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