そばの散歩道お宝拝見メニューへトップページへ
お宝拝見


萩焼きのどんぶり
 ●所蔵/車家(東京都八王子市)



萩焼きのどんぶり

 
使い込んだ美しさ
 
東京の多摩センター周辺はニュータウンとして開発された地区で、広々とした道路、整理された街並みができあがっている。現代的な建物が並ぶ中に、忽然と小さな田舎があらわれる。『車家』である。
店の建物は明治七年のもの。昭和五八年に福島県の只見から民家を移築した。なるべく手を入れずに元のまま活用しており、座敷には囲炉裏があったり、お勝手だったところは厨房に使い、本来の形を生かしている。
ご主人の小川修さんが、昭和四七年に脱サラしてそば屋をはじめたが、地区の開発が進むにつれ、ニュータウンの中の田舎をつくりたい、東京に住んでいる人がほっとできるところで食べてもらいたいという思いがつのり、コツコツと理想の店づくりをはじめた。小川さんは「この建物は新しいものです。いまの建物は完成したときが新しく、使ううちに古くなっていく。でも、これは何年たっても古臭くならない。ダメになった部分、畳や木や障子を変えればまた新しくなるんです」と語る。
器にも凝っている。明治の建物に合うように器も選ぶ。骨董屋さんを回ったり、作家に注文してつくっている。高価なものでも、合うものは店で使っているが、小川さんは「使わないと食器ではないです」と考える。松尾高明さんは、多摩市で活動している陶芸家で、そば好きでもあるせいか懇意にしており、数多くの器をつくってもらっている。中でも思い入れが深いのは萩焼きのどんぶり。二〇年ほど前に一番最初に松尾さんにつくってもらったもの。これは師事していた『一茶庵』の片倉康雄さんも気に入っていたので贈呈、師匠は本の撮影用にも使ってくれていたそうだ。
「先生(片倉さん)に、食器屋は食器をつくるけれど、それはそば屋専用ではない。そばのことが一番わかるそば屋が自分で考えないと、といわれました。自分の店で出すものは他のお店と同じではありません。量も色も味もその店独自のものです。だから自分がどんなものを出すのか考えて、試行錯誤しながらつくってもらいました」と小川さん。古いものを大事に使い込み、その美しさを大切にしているお店である。



お宝拝見メニューへ お宝拝見メニューへ トップページへ トップページへ

お問い合わせはこちら お問い合わせはこちら
copyright(c)1998-2007(社)日本麺類業団体連合会/全国麺類生活衛生同業組合連合会