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お宝拝見


鉄舟の書
 ●所蔵/安田屋本店(静岡県静岡市)



鉄舟の書
 
慶喜にまつわる一本
 
『安田屋』が立地しているのは駿府の城下町が切れるところ。古い東海道(北街道)沿いにある。徳川家康が天下をとって、駿府のおそば屋さんは江戸に移ったが、明治維新が成って徳川慶喜は将軍職を返上し、駿府に戻ってくる。駿府では「毎日が日曜日」の生活である。狩猟やカメラ、乗馬など趣味に生きた。おそばもその一つ。『安田屋』によく足を運び、注文をつけたという。慶喜の好みは江戸風だったが、『安田屋』では側近から好みの味を聞き出し、合うような料理を研究した。今「変わりそば」として名物になっているが、慶喜を訪ねてかつての幕臣も多く訪れた。
勝海舟、山岡鉄舟、高橋泥舟の「三舟」も常連の人たち。そばを食べた後「お代のかわりに」と得意の書を残すこともあった。慶喜の書四本を含め、二〇本ほどが残っていて、土蔵にしまっていたが、空襲のとき、火事のとき、たまたま座敷に飾っていて、灰になってしまった。今に残るのは一本、剣客として鳴らした鉄舟の印のある書である。なんと書いてあるのか、安田さんも正確に知らない。専門家に読んでもらったが、間違いだったという。解読できないが、雄渾の書であることはわかる。明治のはじめ、激動の東京を離れてかつての将軍と幕臣が、そば屋の一室で書に親しむ。優雅な風景がしのばれて、床の間の掛軸は言葉以上のものを語ってくれる。



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