第40回

住民ゼロでも旨い蕎麦なら客がくる「十割」と「粗挽き」に賭ける男の自信

にっぽん蕎麦紀行 写真・文/旅行作家 富永政美

高速道で素通りの道

高速道路で東京から茨城方面へ行くとき、三郷(みさと)インターを通る。
そこは首都高速と常盤道の接続点。同時に東北道・関越道への入り口を横につなぐ東京外環の起点でもあるから、いつも渋滞する。
ノロノロ運転の中で、目の下、数十メートルの下界に広がる「三郷」を観察した。
数多い工場と、大きな住宅団地。その中に大小の川が流れている。
三郷って、東京都なの?それとも埼玉県か千葉県?と考えた。
帰ってから地名辞典を開いてみた。

埼玉県三郷市。入口12万7千。東は江戸川を隔てて千葉県松戸市と流山(ながれやま)市。西は中川を境に同じ埼玉県の八潮市。南は大場川の対岸が東京都葛飾(かつしか)区。複雑な地形である。
地名の三郷は、昔、3つの村が合併してできたから。かつては農業地帯。JR武蔵野線と高速道路の開通により、急速に都市化が進んだ…とある。

貨物列車が走る武蔵野線江戸川鉄橋

貨物列車が走る武蔵野線江戸川鉄橋


歌に詠まれた米どころ

「萬葉集」にこの地を詠んだ歌があるという。

鳰鳥の葛飾早稲を新饗すとも
 その愛しきを外に立てめやも
(ニオドリのカツシカワセをニエすとも
 そのカナしきをトに立てめやも)
《カイツブリ(水鳥)が多い葛飾では、いま早稲の米を神に捧げる祭りのさなかだが、あの愛しい方を外に待たせておかれましょうか》
葛飾と江戸川といえば、『寅さん』の柴又にも近い。歴史散歩に出かけてみるか。うまい蕎麦にでも出っくわせれば、なお結構だ。


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