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第29回 山形県寒河江市『慈恩寺そば』
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地元大企業の専務から脱サラした大もの蕎麦屋が披露する珍芸至芸
にっぽん蕎麦紀行 写真・文/旅行作家 富永政美 space

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日本有数のサクランボのまち
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寒河江市(さがえし)は人口4万4千。山形県中央部に開ける伸びやかな盆地のまちである。鉄道なら山形駅から左沢(あてらざわ)線で30分。車なら山形自動車道の山形蔵王ICから寒河江ICまで20キロメートルの距離である。“山形の母なる川”最上川はここで寒河江川を合流し、ようやく大河の様相を見せる。冬は豪雪、夏は暑い。そんな気候が果物の栽培に適し、リンゴ・桃・ラフランス…。そしてサクランボでは日本有数の生産量を誇る。

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トルコの町と姉妹提携
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山形道を寒河江ICで下りて、国道112を走ると、すぐ「チェリーランド」が見えてくる。サクランボをテーマにした超大型の「道の駅」だ。その看板施設は「トルコ館」で、昔のトルコ帝国の宮殿が見事に再現され、その中に華麗な芸術品の数々が展示されている。「なぜ、ここでトルコなの?」と聞いたら、サクランボの原産地、トルコのギレスン市と寒河江市が姉妹都市提携をしたのを記念して、トルコから専門家を招き、建造したものという。

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チェリーランドのトルコ館
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チェリーランドのトルコ館
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国道を渋滞させる蕎麦屋
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私が初めて寒河江市に行ったのは、今から17年前の昭和61年夏のこと。当時はもちろん、山形自動車道もチェリーランドもなく、国道112号線も現在とは違う寂しい道だった。寒河江駅前から中心街を抜け、田園地帯へ入る八鍬(やくわ)で、国道(当時)が急に渋滞し始めた。なぜかと思ったら、1軒の蕎麦屋が原因だった。専用駐車場に団体バスが出入りし、マイカーもぎっしり。店の名は『慈恩寺そば』だった。おそろしく古びた店。だが、よく見ると、板壁にも窓にも戸にも細かな細工が施されていて、「水戸黄門」に出てくる街道の旅籠(はたご)屋のような2階家。黒々とくすんだ中に、江戸時代の年輪を刻んでいた。車を止め、ノレンをくぐると、中も見事に古い。薄暗い板敷の広間にぎっしりとお客が座って蕎麦をすすっていた。やっと席を見つけて座り、隣のお客に聞いた。
「この店、有名なんですか?」
「たいした評判で、随分遠くから食べにくるみたいですよ」
「慈恩寺ってお寺があるんですか?」
「1キロ半ほど先の大きなお寺ですよ」
そんな話をしながら食べた「板そば」の強烈なうまさに感心した。

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雪の日の『慈恩寺そば』
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雪の日の『慈恩寺そば』
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『慈恩寺そば』の店内
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『慈恩寺そば』の店内
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