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第26回 山形県羽黒町『金沢屋』
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繁華街の高級店を捨てて水田の中に移った異色そば屋の語るも涙の物語
にっぽん蕎麦紀行 写真・文/旅行作家 富永政美 space

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「内陸」とは違う「庄内」の蕎麦
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山形県を大きく2つに分け、東の奥羽山脈寄りを「内陸」、西の日本海側を「庄内」と呼ぶ。山と盆地の内陸に対し、庄内には広い平野が開けている。

庄内平野には、鶴岡と酒田、どちらも人口10万の都市が2つ、ぴったりと寄り添っている。
江戸時代の鶴岡は、庄内藩14万石の由緒ある城下町。
酒田は最上川河ロの港町。川舟が運んでくる内陸の物産を外洋船に積み替えて関西に送り、また、京・大坂からの物資を内陸に運び込む商人の町として栄えた。

京の雅(みやび)と山形の農村が出会う庄内では、食文化にも町方風と田舎風の2つが共存し、蕎 麦の流儀も内陸とはかなり違っていた。

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鶴岡は由緒ある城下町(藩校・致道舘)
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鶴岡は由緒ある城下町(藩校・致道舘)
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酒田港の歴史を伝える山居倉庫
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酒田港の歴史を伝える山居倉庫
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姿を消した蕎麦の銘店
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5年前、そんな庄内の蕎麦を食べ歩いていた私は、鶴岡市の大宝寺町で「金沢屋」という蕎麦屋を見つけた。地味だが格調の高い店で、山形には珍しい細切りの蕎麦が見事だったが、庄内空港最終便の時間が迫り、店主の話をゆっくり聞かずに帰ってきたのが心残りになっていた。

ことし5年ぶりに鶴岡を訪れた私は、大宝寺町を歩いてみたが、その店は姿を消していた。通りがかりの老人に聞くと、「おォ『金沢屋』はのォ、東田川郡羽黒町に移りましたわ。たいそう立派な店を建ててのォ」と、鷹揚な庄内弁で教えてくれた。

電話番号を調べ電話すると、店主の野尻民雄さんは、5年前に名刺を交換した私のことを覚えていた。
「羽黒町といっても、鶴岡駅から車で20分ほどの所です。ぜひおいでください。私もお話ししたいことが山ほどあります」と言う。
その日は時間が遅いので、翌日の午後3時と約束した。

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