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庵(あん)
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「庵」とは、本来、小さな住居を意味する言葉で、隠遁者や僧侶、尼僧などの住む家や、僧房の名などに用いられていた。麺類店の屋号に、この「庵」という言葉が多く使われるようになったのも、やはり寺社に由来する。

江戸時代の中期のころより、浅草芝崎町に一心山極楽寺称住院という浄土宗の寺があり、その院内に「道光庵」なる庵室があった。庵主は信州松本の出で、自身そば好きで、そば打ちの名人でもあった。享保(一七一六〜一七三五年)のころより、この寺の檀家衆が参詣にくると、自分で打った「御膳そば」を供したという。これが大いに評判を呼び、檀家は勝手に仏事をつくって押しかけるようになり、檀家以外の町衆も信心にかこつけて「そば振舞い」を楽しむようになった。寛延(一七四八〜一七五〇年)ごろに、その評判はピークに達し、一時は本職の店を抜いて、江戸でも筆頭にあげられるほどになった。

当時の麺類店の間では、この「道光庵」にあやかって繁盛しようと、屋号に「庵」を用いだしたというわけである。ちなみに庵号の先駆けは、「東向庵」「東翁庵」「紫紅庵」「雪窓庵」などの四軒で、文化(一八〇四〜一八一七年)のころには、もっとも流行したという。

ところで、本家「道光庵」は、その後、天明六年(一七八六年)に、そば振舞いを禁止するという石碑を門前に立てて、寺社としてのけじめをつけたという逸話が残っている。

●参考文献『蕎麦辞典』『そば・うどん百味百題』
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